20卒NNT(無い内定)ブログ

370日、100社以上受けて2社しか内定がなかった二浪私文のゆとり。そのワケ、発信します。現在ニート1年7か月(就職活動はじめます)。Amazonのアソシエイトとして、当メディアは適格販売により収入を得ています(と書いてありますが現状Amazonの商品を張った記事はない…はず…。)。

大丈夫?週刊少年マガジンの『ヒットマン』が「編集不要論」唱える~『バクマン。』を添えて~

f:id:naite_zero20:20191029033106p:plain


 

皆さん、お世話になっております!

内定なし夫です!!!

 

今回ですが、

今後の考えのひとつに挙げていた

趣味記事を書いてみようかなと思います。

今後の方針についてはこちら↓

 

naite-zero20.hatenablog.com

 

 

今回の趣味記事ですが

現在週刊少年マガジンで連載されている

ヒットマンという作品、

その展開が個人的に興味深いということについて

書きたいと思います。

 

エンタメ、特にマンガに興味がある方

就活にあたって出版社を目指そうとしている方

 

とくに後者の業界研究の一助となれば幸いです。

 

 

(注意事項)

本記事は研究のような役割を担うわけではなく

あくまでも趣味の範囲といった形式をとっております。

そのため、引用する情報にネットのものなどが含まれます。

ご了承ください。

 

 

 

 

 

 

 

取り上げる作品について

 

この記事で取り上げる作品のご紹介です。

(各作品情報はネットの情報を参照)

 

バクマン。

 出版社……集英社

 掲載誌……週刊少年ジャンプ

  作者……原作:大場つぐみ、作画:小畑健

掲載時期……2008年37・38合併号 - 2012年21・22合併号


あらすじ……

中学3年生の真城最高(サイコー)は高い画力がありながらも将来に夢を持たず、ただ流されて普通に生きていくだけの退屈な日々を送っていた。

ある日サイコーは些細な出来事を切っ掛けに、秀才のクラスメイトで作家志望の高木秋人(シュージン)に「俺と組んで漫画家にならないか」と誘われる。

初めはその誘いを断っていたが、声優を目指している片思いのクラスメイト・亜豆美保と「アニメ化したら結婚する、それまで互いに直接会わない」と約束した事から漫画家への道を志す事になる。

 

 

ヒットマン

 出版社……講談社

 掲載誌……週刊少年マガジン

  作者……瀬尾公治

掲載時期……2018年29号 -

 

あらすじ……

講談社の最終面接に訪れていた剣埼龍之介は、廊下で見知らぬネームを拾う。

その内容を見て、龍之介は思わず作品に引き込まれてしまうが、同じく就活生である小鳥遊翼に没収されてしまう。

数か月後、めでたく入社となった龍之介は悪戦苦闘を繰り返していく中、持ち込みにきた翼と劇的な再会を果たす。

講談社への就職を蹴った理由を問いただすと、翼は「アナタが面白いって言ってくれたからです! 絶対に責任をとって下さい!!」と口にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヒットマン』と「編集不要論」

 
ヒットマン』における編集者

さて、『ヒットマン』における編集者の役割ですが

複数の画像を交えながら説明してみたいと思います。

 

f:id:naite_zero20:20191028021344j:plain

左:剣崎 龍之介(主人公/編集者)  右:小鳥遊 翼(メインヒロイン/漫画家)

上の画像は第1話のシーンです。

新人編集である剣崎は、ヒロインの小鳥遊の持ち込み原稿を読みます。

そして「面白い」と評価したところ

22歳、就職活動中だった小鳥遊は就活を辞め、漫画家として歩み始めます。 

 

f:id:naite_zero20:20191028022151p:plain

同じく1話。剣崎は小鳥遊のマンガを背負うことを決めます。

 第1話では熱くなれるシーンもありますが、この記事の本筋ではないため割愛します。

さて、上の2枚を見てみると

小鳥遊の台詞、そして剣崎の台詞と

「編集者がマンガに対して責任を負う」ということが伺えます。

剣崎の台詞はマンガに対しての編集の立場が見て取れますね。

 

さて、編集者の立場というのは他の箇所でも見られます。

f:id:naite_zero20:20191028022731j:plain

ヒットマン』に登場する漫画家。実は同作者の『君のいる町』にも登場

f:id:naite_zero20:20191028022847j:plain

文字通りの方です。

さて、『ヒットマン』の中では

漫画家/編集者にステータスのようなものが描かれます。

 

漫画家は上画像のように、マンガのテクニックや技術。

編集者は下画像のように、マンガの売り上げ。

 

売り上げというのはマンガにおいて大切なことです。

それだけ作品の質やマーケティングが優れている

ということを表し、ここからも

編集者がマンガに対し十二分に関与していることが伺えます。

 

 

以上から

「編集者はマンガに関わる」ということがわかると思います。

 

 

 

以下は『ヒットマン』第2話のシーンになります。

それぞれ漫画家と編集者の関係性/立場が感じられますね。

 

f:id:naite_zero20:20191028023645j:plain

マンガの内容について議論が白熱する2人

f:id:naite_zero20:20191028023737j:plain

f:id:naite_zero20:20191028023747j:plain

下2枚は、この後にも触れますので

よければ頭の隅にでも置いておいてください。

 

 

 

 

 

ヒットマン』における「編集不要論」

さて、実は剣崎と小鳥遊ですが

もともとラブストーリーも話に含まれており

現在では晴れてお付き合いをしております。

 

マンガを介してのみではなく

お互いが深い関係になりましたね。

マンガ、という媒介を排除した関係は

 やや共依存的かと考えられますが、

 おそらく今後何かの困難が待ち受けているでしょう)

 

 

問題は、先週のマガジンに掲載された66話におけるやりとり。

 

有名漫画家である春日(ラブロマンス方面でいざこざがあります)が、マガジンで連載を持ちたい。

と持ちかけるシーンです。

 

編集部としては有名作家が新連載するのは願ってもないこと。

しかし、春日は連載に当たって条件を出します。

 

1.作品の内容について編集者は口出ししない事

2.剣崎龍之介が担当であること

 

作家と編集が深い関係にある剣崎&小鳥遊

とは対照的な条件。

 

春日は剣崎と小鳥遊の関係を知っており、

そうしたラブロマンスの方面でも重要な場面ですが

 

66話ラストの担当編集(『ヒットマン』のです)

が載せるあおりコメントに面白いことばが……

それこそが「編集不要論」。今回の主題です。

 

ボクとしては「マガジンがそこに行くか」と思ったものなので

この先は現実の「マガジン」の制作について考えます。

 

 

"マガジン"の制作

 

マガジンの漫画制作ですが、以前は

作家性から離れた形式をとっていたといわれます。

 

作家のネームを訂正するだけに留まらず、

編集者が作ったお話を漫画にする。なんてこともあったとか。

 

マガジンの編集者は編集の技量だけでなく

漫画の技術や面白いものを作る実力まで要請されていました

 

下手したら作家は絵を描くだけ。

「編集者優位」にもなりうるということがわかりますね。

一方、ジャンプでは作家性に重きを置いていたと考えられ

 「作品をつくるのは作家」だったと思われます。)

 

先に挙げた画像では

「編集者は灯台、作家は船」と描かれており

作品作りにおける編集者優位は薄いと受け取れますが

 

編集と作家の二人三脚体制は変わらないと思われます。

 

 

 

 

バクマン。』における編集不要論

ここで、マガジンを離れ、

ジャンプに掲載された『バクマン。』を分析してみましょう。

 

バクマン。』には編集不要論につながる要素が複数存在します。

(「ジャンプ」自体が作家主義に近いためということもあるでしょう)

 

そのなかでも、2点を取り挙げてみたいと思います。

 
1.絶対的作家、新妻エイジ

まずは彼、新妻エイジというキャラクターですね。

f:id:naite_zero20:20191029024911j:plain

 

彼は漫画の才能をいかんなく発揮し、

主人公達のライバル作家となるわけです。

 

しかし、人気漫画家である新妻エイジ

編集者をほとんど必要としません。

 

f:id:naite_zero20:20191029025031j:plain

新妻の作家性を踏まえた編集者同士の会話

 

左の編集者は主人公たちとも深く関わり

編集と作家が二人三脚という関係性を構築します。

右の編集者は新人ということもあり、

作品を作家によるものという傾向が強いです。

(右の人は後に

 努力して作家と一緒に歩むという

 編集と作家の二人三脚を肯定するようなキャラでもあります。)

 

編集が口を出さなくても人気作が出来上がる新妻エイジにとって

編集者の担う役割はきわめて薄いと感じられます。

 

バクマン。』の新妻は

たとえば尾田栄一郎であったり、岸本斉史であったり……

彼らが編集を不要としているわけではありませんが

 

作家性の強いジャンプならではのキャラかと思います。

 

 

 

2.七峰システム

 

七峰システムというのは

登場人物である七峰透が行った漫画制作の通称です。

f:id:naite_zero20:20191029025656j:plain

 

簡単に言うと

「複数のブレイン(人)がひとつの作品をつくる」ということです。

 

世間の流行を分析したり、

複数人が「面白い」と思った作品のみ次の段階へ進む。

そこでジャンプ読者であるモニターに作品を読ませ、

基準をクリアしたものを正式に作品にします。

 

漫画は作家がつくるもの、どころではなく

「編集と漫画家の二人三脚」も超えたシステムですね。

 

作家性に対するアンチテーゼとも読めます。

マガジンの制作は作家性にもいかず、

 七峰システムにも遠くないため、

 ヒットマン』で同じことをやっても効果は薄いでしょう。

 作家性の強いジャンプならではですね。)

 

 

 

 

バクマン。』における「編集不要論」の行方

 

バクマン。』は完結した作品ですので、

新妻エイジや七峰システムの顛末が描かれています。

 

 

新妻エイジ

自身の作家性を保ちつつ

編集者との漫画作りを行うようになります。

 

七峰システム

主人公達の漫画に対する情熱など

作家性に敗れるという形で幕を下ろしました。

 

 

新妻エイジでは「作家と編集の二人三脚」

七峰システムでは「作家性の重要性」

 

を肯定して描いたといえます。

 

 

 

 

 

まとめ

さて、長々と書いてきましたが

このヒットマン』での「編集不要論」の何が驚きかというと

 

「これまで編集の立場が確立されていた

 マガジンで編集不要論を唱えた」

 

というのが主点です。

また、

 

「『バクマン。』で既に編集不要論が扱われ、

 作中の顛末で作家と編集の二人三脚が肯定された」

現状があるため、

 

ヒットマン』がどのように「編集不要論」を描き

決着をつけるのか要注目だと思います。

 

 

 

 

以上、

ブログの編集者がいたほうが絶対この記事はよくなる

内定なし夫でした!!

 

 

≪参考資料≫

大場つぐみ/小畑健バクマン。』(ジャンプ・コミックス)

瀬尾公治ヒットマン』(講談社コミックス)

大澤真幸サブカルの想像力は資本主義を超えるか』2018.3(KADOKAWA